日 時:7月2日 11:50~12:13
面会者:秀子、新田、山崎
東京拘置所10階 第5面会室
秀子:やぁ 元気?
巌: 元気だよ
新田: 新田です
山崎:山崎です。
秀子:下着2枚とシャツ2枚、入れといたからね
巌:ありがと、ランニングか
秀子:袖の無いの、ランニングじゃないけど
巌:半袖が良い、ランニングじゃ・・・。 肩を冷やさない方が良いから、半袖のメリヤスが2枚ほしい
秀子:半袖のメリヤスだね、今度入れるから
熊本さんが来てるよ、覚えてる? あんたに謝りたいってさ
山崎:熊本さんを覚えていますか 裁判官の
巌: 熊本さん? ・・・「熊」という字を書く人だらぁ、会えば判ると思うよ・・ いい人だった
秀子:熊本さんがおまえに会って、謝りたいって言ってるよ。
巌:いい人だと思っている・・・会いたいって言ってるなら、会っても良いが、 袴田事件なんてものは紙にただ書いているだけで実際の世の中にはありゃせんのだから、ありゃしないものに、謝りたいと言っても、謝まらなくっても納得出来るんじゃないか。こんな事件はありゃせんのだから。
山崎: そうですか・・・ 手紙を送りましたが、着きましたか?
巌: 手紙は受け取っていない。
山崎:確か木曜日に送っていますので、 もう着いてると思ったのですが・・
(新田さん何か・・・と言って新田さんに話をしてもらうよう促す)
新田:前回は会っていただいてありがとうございました。あれからですね、今までは東日本ボクシング協会だけで支援をしていましたが、6月に全日本ボクシング協会でも支援が認められました。
巌:私は今オリンピックで戦ってて、あと3回やって、決勝までいったら、アリと戦うことになるだろう。勝てば、私は自由になるんだから。 その次は世界フライ級のタイトルマッチになる。
新田:今後は全日本ボクシング協会として、興業なんかでアピールを中心に出していくことができます。この事件に支援することが出来るようになったわけです。
巌:もう、事件は儀式でもって、終わっていてなにも無いんだよ。 何もありゃしないが、そうやって事件がなかったことを証明する価値はあるな。
山崎:清水の三津山さんは覚えていますか。
巌:三津山・・・・覚えてないな
山崎:袴田さんより10歳ぐらい年下ですよ。清水の串田ジムで一緒に練習したと思います。覚えていないですか。
巌:渡辺さんは知っているが・・・・三津山って人は覚えていない。
山崎:三津山さんが面会したいって言ってますよ。袴田さんと会ってボクシングの話をしたいって。
巌:ここでは記憶を消しちゃっているから・・・ 面会しても私の本当の姿はわからんと思うよ。 これは儀式だから。 私は普通の人からは見えないところで、私の学者としての生活があるから。それは分からんようにしているから。 科学者としての研究のことは何も残ってないんじゃないか。
山崎:食事はどうですか、美味しいですか。 量的にはどうですか、足りていますか。
巌:粗食でちょっと少ない、制限されてるから・・・・
山崎:少し足りないですか
巌:少ないね
山崎:服など着ているものはどうですか。
巌:衣類は今は入っているが、ちょっと前までは入っていなかった。
山崎:そうですか。テレビとかビデオは見ていますか。
巌:一週間に一回ぐらい見ているよ。
山崎:どんなもの見ていますか
巌:どんなものと言ったって・・・この間は・・・・・なんだったかな・・・・。
山崎:小林旭の映画なんかは見ますか。
巌:コバヤシ・・・ アキラ・・・?
山崎: 小林旭とか石原裕次郎とか覚えているでしょう
巌:小林旭は知らないが、石原裕次郎は知っている
山崎:石原裕次郎の映画なんか、見ないんですか。
巌:見ないね。
山崎:手紙が着くと思うので、私に返事を書いて下さい。
巌:ここじゃ字を書くとコピーされてしまうから、 手紙を書いたら損する。手書いたらごまかせるので
山崎:でも、昔は手紙をよく送っていましたね。
巌:昔は書いていた、 書いていただけの世界だよ。ごまかそうと世界がなっているから。
(そろそろ時間だと言われる)
秀子:半袖シャツ入れるからね
新田、山崎:また来ますから
(おわり)