記者会見資料
1 本日、最高裁判所へ特別抗告理由補充書提出
平成16年8月27日東京高裁棄却決定
平成16年9月1日特別抗告申立
2 補充書の内容
第1 「5点の衣類」の正しい評価・検討方法
~ 「5点の衣類」についての考え方、論じ方~
1 「5点の衣類」についての考え方、論じ方
2 犯行着衣と認定する積極的な根拠がきわめて乏しいこと
3 ねつ造の可能性の検討の必要性・重要性
4 5点の衣類に関連する多数の合理的疑いの存在
~ねつ造の可能性をうかがわせる数多くの事実の存在~
5 ここでの「請求人が着用していた」の意義
6 「請求人が着用していたか否か」という問題を適切に評価すべき必要性
7 「請求人が着用していたか否か」はより正しく判断しやすいこと
8 「ねつ造の可能性」を検討する上でのその他の注意点
9 結論
以上、犯行着衣か否かの判断においては、犯行着衣以外のものである可能性の検討、特にねつ造証拠である可能性を検討することが必要であること、また,ねつ造証拠か否かの検討においては、「請求人の着用していたものか否か」の検討がもっとも重要であること、その結果、請求人の着用したものと認定されてはじめて犯行着衣であると認定することができること、などについて論じてきた。
そこで、これらのことを前提として、以下、具体的に,5点の衣類について,犯行着衣か否か、請求人が着用していたものか否かについて論じることとする。
第2 緑色ブリーフについて
1 はじめに
2 本件ブリーフと弁護人提出のブリーフ
3 確定までの裁判所の認定
4 本件ブリーフとムーンライトとの相違点
5 親族の供述についての原二審判決の評価
6 原二審判決の証拠評価の誤り
7 弁護士を巻き込むことの不合理
8 親族らのその後の行動からして偽証はありえないこと
9 従業員の証言の信用性が低いこと
10 結論
第3 鉄紺色ズボンについて
1 はじめに
2 本件ズボンのウェストサイズ
3 原二審判決を擁護する原決定の不当
4 ズボンの共布が請求人の実家から発見されたこと
5 共布に関する数々の疑問
6 袴田ともの検面調書
7 本件ズボンに損傷部分があること
8 結論
第4 白半袖シャツとスポーツシャツ
1 はじめに
2 裁判所の認定とその誤り
3 両者の右肩の損傷部位と請求人の傷
4 澤渡第1鑑定に関する原決定の評価の誤り
5 請求人の偽装工作が想定できないこと
6 結論
3 特別抗告理由補充書の意義
1) 原審(東京高裁)では、はじめて裁判所が正面から5点の衣類のねつ造の可能性の問題を取り上げたが、それをきわめて安易に排斥してしまった。
2) 排斥された理由は、原決定は、
① 新証拠を含む証拠の評価を誤った
② 5点の衣類の考え方、論じ方を誤った
からである。
3) すなわち、これまでは、
① 5点の衣類については、(ア)「犯行着衣か否か」の問題と(イ)「請求人のものか否か」の問題とを明確に区別した上で、(ア)→(イ)の順に検討されてきた。
② 例えば、緑色ブリーフが2枚存在する問題、右肩に損傷のある衣類が2組存在する問題などは、(ア) の問題とは無関係の問題であり、(ア)が認定された後、(イ)の問題を論じる中で検討されてきたにすぎなかった。
4) 要するに、緑色ブリーフが2枚存在する問題、右肩に損傷のある衣類が2組存在する問題などは、犯行着衣か否かを論じる中ではまったく検討されることがなかった。
5) そして、(ア)が単に血が付着しているなどの理由から認められることによって、事実上、(イ)も簡単に認定されてしまった。
6) しかし、本件においては、例えばDNA鑑定により被害者の血液であることが科学的に証明されたわけではなく、(ア)を積極的に認定できる証拠に乏しいため、犯行着衣以外の可能性、特に「ねつ造証拠の可能性」が否定できない限り、(ア)を認定することはできない。
7) このように、(イ)の問題も、(ア)の問題とは「ねつ造証拠の可能性」を媒介にして密接に結びついており、むしろ(ア)を認定するためには(イ)の検討はきわめて重要である。
8) 即時抗告申立書においては、2)の①を中心に論じてきた。それに加えて、本補充書においては、2)の②について正しい考え方、論じ方をはっきりと示すことによって、5点の衣類が犯行着衣と認定することについて、合理的な疑いがあると言わざるをえないことは、自ずから明らかとなるはずである。